モーグルとカバとパウダーの日記

モーグルやカバ(EXカービング)山スキー(BC)などがメインの日記でした。今は仕事のコンピュータ系のネタが主になっています。以前はスパム対策関連が多かったのですが最近はディープラーニング関連が多めです。

電車男について

CNET Japan Blog - 梅田望夫・英語で読むITトレンド:「電車男」に見る2ch文学の可能性
のところからたどれる電車男の考察では、ネット世代(「ネットの向こうに存在する不特定膨大多数に対する信頼(トラスト)」がある人)ではないか、というところをメインに考察がなされているが、すこし違う焦点でみたほうが自分にはしっくりくる。


電車男は、とにかく誰かに話したかったのだろう。
それは少なくとも最初は、信頼しているから相談したかった、というのではなくて、自分とカテゴリーの近い誰かに、話を聞いて欲しかったのだ、と思う。

「王様の耳はロバの耳」の話のように、人は誰かにしゃべりたい、のだけどもしゃべる適当な相手がいない場合がある。
それは、よっぽど仲が良くないと話せないような深い話なんだけども、でも逆に、とても知り合いにはしゃべれないような、きつい話などだろう。

電車男の場合は、恋愛関係だからまだ仲の良い友人には話せなくはないと思うが、例えば泣ける2ちゃんねるに載っているような話だと、親しい友人でもなかなか話せないような話が多くあるように思う。

つまり、「自分となんらかのカテゴリーの近い誰かだが、自分とは関わり合いのない誰か、に話を聞いてもらう」ために、電車男は、というか、2ちゃんに自分の深い話をしている人は、書いてるんじゃないかと思う。


もう一点は、「レスの正のスパイラル」とでも言うべき点。良い情報を出すものには良い情報(協力)が集まる、という感じ。

電車男はそれをたぶん無意識に、しかし非常に誠実に行っていると思う。
例えば、デートから遅くなって帰ってきても、ほぼ即時でのレポートを、睡眠時間を割いてでも行っている。
周囲の欲している情報を的確に、誠実に出すことにより、それに対する情報提供の協力が続いている。
それによって、「良スレ」として場が良い状況に保たれていると思う。割窓理論の逆、とも考えられる。

これはこの件に限らず、例えばオープンソースソフトなどでも、うまく利用者を巻き込むような形に協力を得ているところでは、情報の提供がうまいためのように感じる。良いコミュニティが出来ていく、ということ。


話自体で心をつかんだポイントについては、また後日書いてみたい。


(関連)
電車男とインターネット論


(追記)
とか書いた後に、
『斬(ざん)』:『電車男』についての記事について・・・ (斬ノ伍)
adverse selection: 深い(ほんとに)
を読みました。ガイシュツでしたね…