モーグルとカバとパウダーの日記

モーグルやカバ(EXカービング)山スキー(BC)などがメインの日記でした。今は仕事のコンピュータ系のネタが主になっています。以前はスパム対策関連が多かったのですが最近はディープラーニング関連が多めです。

なぜチェーンメールはいけないのか

ソレ チェーンメールだよ!そういうの転送するのって迷惑だよ。という前にできること。 - インフラ管理者の独り言(はなずきん@酒好テム管理者) で指摘されてるように、チェーンメールはやめよう、と指摘するのはなかなか難しい。
それには、なぜチェーンメールはいけないのか、という説明が理解してもらいにくいということもあると思う。
実は、嫁のところにもチェーンメールが来たので、チェーンメールは転送しないほうが良いよと言ったところ、なんでチェーンメールはいけないの?という質問をされた。が、やってみると説明がなかなか難しかった。
なので、チェーンメールが良くない理由を書いてみたい。
しかし、もっと良い説明があればぜひ教えてください。



まず最初に結論から。

チェーンメールは仕組み的にデマが広まりやすく、デマで大きな迷惑を掛ける。
だからチェーンメールという仕組み自体を使わないようにすべき。

なぜそういう結論になるのか、具体的に今回の震災で出回っているチェーンメールを例に説明したい。

まずは支援物資の提供をお願いするチェーンメールだ。

自衛官の家族からのお願い」


自衛官を夫にもつ家族からのお願い。
自衛官の家族からのお願いです。できるだけ沢山の方に転送して下さい。
ご協力に感謝致します。自衛隊では支援物資を受け付けています。
各県の県庁が窓口です。まだまだ不足しているそうです。
凍える寒さの中、空腹に耐えて救助を待っておられる方が沢山いらっしゃいます。
状況は、ニュースよりもさらに哀しい状況とのこと…。
現地の方は希望を持って頑張っておられます。
どうかお時間のある方、宜しくお願い致します。


募集品目とご注意頂きたいこと
・衣料、食料、電池、日用品(石鹸やティッシュなど)、ベビー用品を募集しています。
・食料は腐らないもの(レトルト、インスタント食品、栄養補助食品)など。
・特に毛布やカイロなどの暖を取れるものが助かります。
・衣料の場合はサイズごとにおまとめ頂き、分かるように明記ください。
・衣料はなるべく綺麗なものが喜ばれるそうです。
・なるべく1つの段ボールには一種類の商品⇒仕分けの手間が減ります。
・重くなり過ぎない様に。
・「地震支援物資在中」とお書き添え下さい。


(…この後、物資送り先である各県庁の住所と電話番号が並んでいるが一部省略)
宮城県県庁 ← 仙台あてはこちらへ
岩手県県庁
青森県県庁
福島県県庁


こういう、メッセージ自体に「沢山の方へ転送して下さい」などと書いてあって広まっていくタイプのものがチェーンメールとなる。
ぱっと見たところ、支援物資を募っているもので、被災地でどんなものが必要かがまとまっており、「良いこと」が書いているように見える。


が、実はこの時点ではまだ、各県庁で物資の募集窓口などは準備されていなかったのだ。
そのため、このチェーンメールを見た人たちが各県庁へ電話して、ただでさえ混雑している回線を消費してしまったり、対応する人のマンパワーを削ることになってしまった。


また他の問題もある。
チェーンメールは止めることが出来ないため、例えば毛布などが潤沢になって既に不要になった後も、まだたくさんの毛布が送られてくる、ということが起こりうるのだ。
そして実際に、中越地震の時には「大人用おむつ」でそれが起きている。
(実際の例:チェーンメールが招いた悪影響:Wikipedia)


このようにチェーンメールでは、内容が基本的に「良いこと」であっても、関係先(と表記されたところ)に迷惑が掛かってしまうことが多い。


こういった問題は下記にあげる、チェーンメールという仕組みが基本的に持っている性質によるものだ。

  • 内容の真偽が確認しにくい
  • 途中で改変されて広まりやすい
  • 拡散を止めることが出来ない

つまり、基本的にデマが広まりやすいシステムなのだ。



もう一つ、電力の消費を押さえるようにお願いするチェーンメールも見てみよう。

■お願いがあります■


関西電力で働いている友達からのお願いなのですが、本日18時以降関東の電気の備蓄が底をつくらしく、中部電力関西電力からも送電を行うらしいです。


一人が少しの節電をするだけで、関東の方の携帯が充電を出来て情報を得たり、病院にいる方が医療機器を使えるようになり救われます!


こんなことくらいしか関西に住む私達には、祈る以外の行動として出来ないです!
この(メール)を少しでも多くの人に送って下さいm(__)m


ここでは連絡先も出ていないし、節電するだけならなんら問題ないと思える。
ただ実際には、関西で節電をしても関東へ回せる量は限られているため、ほとんど意味が無い。


でもそれほど問題はないのであれば、わざわざ目くじらを立てる必要もない、と思うだろう。
しかしこういうお知らせやお願いを、公式にチェーンメール使って行うようになったらどうなるか、少し想像してみよう。
そういう「お願い」を皆が無批判にチェーンメールで回すという世界を、だ。


「公式なお願い」を装ったチェーンメールを作ることは簡単だ。
それっぽい文章を作ることは難しそうに思うかもしれないが、すでに出回った「お願い」をベースにして修正すれば良い。
例えば、募金のお願いに載っている口座を、自分の持ってる口座に書き換えて広めるのなんて、とても簡単だ。
連絡先の電話番号を、嫌がらせをしたい相手の電話番号にするのも良いかもしれない。


このように、チェーンメールを無批判に回すことが一般化してしまうことは、チェーンメールを悪用するための素地を作ってしまうことになる。
厳しく言うなら、チェーンメールを回すことは、将来起こるであろうチェーンメールを悪用した詐欺に間接的に加担していると言えるだろう。



なので、チェーンメールという仕組み自体が良くないものと考えれば良い。
そして、チェーンメールは良くないことをうまく説明が出来ないとしても、少なくともチェーンメールは回さないようにすべきだ。
回して良い情報は、ちゃんとソースとなるページが確認出来て、自分でちゃんと確認してから回すこと。そして回すときも、次の人が自分で確認出来るよう、そのURL付きで回すようにしよう。



(追記)

総務省からのチェーンメールについての注意でも


総務省東北地方太平洋沖地震に関するチェーンメール等にご注意ください。
http://www.soumu.go.jp/menu_kyotsuu/important/kinkyu01_000096.html#bs

 チェーンメールは、
・情報の出所がわからない
・転送を繰り返していく途中で情報の内容が改変されることがある
・その情報を広めることが必要なくなっても、止めることができない
ため、間違った情報、不確実な情報を拡散してしまうことになる迷惑メールです。


のようにまとめられていますね。

チェーンメール自体が良くない仕組みである」ということを広めて、その理由を知りたい人にはこのページでの説明や、総務省の説明を行うと良いでしょう。


また、下記ページでは今回の震災で流れたデマやチェーンメールがまとめられており、参考になります。

東北地方太平洋沖地震、ネット上でのデマまとめ - 荻上式BLOG
http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20110312/p1