モーグルとカバとパウダーの日記

モーグルやカバ(EXカービング)山スキー(BC)などがメインの日記でした。今は仕事のコンピュータ系のネタが主になっています。以前はスパム対策関連が多かったのですが最近はディープラーニング関連が多めです。

ポーパスターンについて その5

その4などで書いたように、ポーパスターンは必然的に、それまでの滑りよりもより接雪して、カービングして滑るスタイルになります。
そうしたとき、確かにターンの質としては上がるが、スピードとしては遅くなるのでは、という意見あります。多すぎる接雪は、スピードロスになるのではないか、ということです。


そこで接雪は、多いほうが速いのか、少ないほうが速いのか考えてみます。


接雪が最小限のほうが速い、という考えは簡単に理解できます。
接雪していない間は、雪からの抵抗を受けないので、空気抵抗のみが減速要素となるので、ほとんど減速はしないということになります。
減速しないということは速くなるということです。

ちなみにこの滑り方は、フレンチスタイルと言われる、エドガーが全盛だったころに代表される滑り方にあたるでしょう。
コブの頂点のあたりに縦に浅く入って、急激で短いエッジングで切り返して浅く飛ぶように滑ります。


それに対して、接雪したほうが速い、という考えは理解しにくいです。
接雪していたほうが、どう考えても減速要素が増えるからです。カービングしているから抵抗が少ない、とかいう話ではありません。

モーグルの場合、急斜面をほとんどフォールラインに沿って直滑降するようなラインで滑ります。そのため、1,2コブですぐ限界速度に到達します。
すると、あとはその限界速度を越えないようにスピードコントロールして滑ることになります。
例えばひとコブの高さが全てhの機械的なラインを想定します。ひとコブ毎にmghだけの位置エネルギーが速度に変換されて加速してしまうため、限界速度を超えないためには、ひとコブ毎にそのmgh分のエネルギーを、減速しながら滑らなければならないはずです。
ある同一の速度で滑る場合、どんなにゆっくり滑っていても、速く滑っていても同じだけのエネルギーを、ひとコブ毎に減速しながら滑っているわけです。

つまり、減速が少なく出来る滑り方であっても、限界速度に到達すると、そこからは必ずある一定量のエネルギー分だけ減速をしないといけない、ということです。


減速する分のエネルギーは、速度に関わらずmghと一定なので、受け取る力の大きさは、減速に掛けれる時間に反比例する、ということが言えます。
つまり、減速するためにコブから受け取る力は、時間をかけて受け取れば、一度に受け取る力は小さな力で済むわけです。逆に、速く滑っている場合は短い時間に大きな力を受け取る必要があります。

そう考えると、耐えられる最大筋力が決まっている場合、より長い時間を掛けて力を受け取ったほうが有利だ、と考えられます。

つまり、減速要素が少ないほうが速いのではなく、同じ速度でもより時間をかけてスピードコントロールできる滑りのほうが、高いスピードを保てるということになります。


(関連)

ポーパスターンについて その1
ポーパスターンについて その2
ポーパスターンについて その3
ポーパスターンについて その4
ポーパスターンについて その5
ポーパスターンについて その6
ポーパスターンについて その7